ユーロは水曜日、米連邦準備制度理事会(FRB)の決定を前に市場が慎重姿勢に傾くなか、対米ドルで小幅に下落し、直近の上昇分を削った。EUR/USDは1.1600を再び下回ったものの、火曜日の取引レンジ内にとどまった。注目は連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国のドナルド・トランプ大統領が、インフレがFRB目標を上回る状況でも利下げを進めるためにケビン・ウォーシュ議長を任命して以降、同議長の下で初の会合となる。中央銀行の独立性を巡る疑念もくすぶっている。
FRBは政策据え置きが概ね織り込まれており、焦点はウォーシュ議長の記者会見と、経済・金利見通しの更新に移る。市場では、同議長がドット・プロットに関与しない可能性も取り沙汰されている。米5月小売売上高は前月と概ね整合的な結果が見込まれ、ドルへの即時の影響は限定的とみられる。ほかでは、米国とイランの通商合意を巡る追加情報待ちが続く一方、地政学リスクも上昇した。イランは、イスラエルがレバノンへの攻撃を継続すれば「強硬な対応」を取ると警告し、トランプ氏はG7で、合意に不満があれば「再び爆弾を落とす」可能性に言及した。ユーロ圏では、5月のHICP確報値は前年比3.2%、前月比0.1%と予想通りだった一方、コアHICPは前年比2.5%から2.6%へ上方修正された。
中央銀行政策の乖離と市場ボラティリティ
当社が主眼とするのは、FRBと欧州中央銀行(ECB)の政策スタンスの乖離拡大である。新体制の下でFRBの先行きが極めて不透明となるなか、市場のボラティリティ上昇が見込まれる。過去1カ月で9%超まで上昇したEUR/USDオプションのインプライド・ボラティリティは、こうした神経質な地合いを端的に示している。
「ドット・プロット」の廃止が現実味を帯びれば、重要なフォワードガイダンスが一つ失われ、ウォーシュ議長の発言により強く反応せざるを得なくなる。5月の米CPIではコアインフレが3.6%と粘着的であることが示されており、利下げを示唆するシグナルが出れば大きなサプライズとなり、ドルが大幅に下落する可能性がある。この環境では、方向性にかかわらず急変動で収益機会を得るロング・ストラドルのような戦略が有利となる。
大西洋の反対側では、ユーロ圏のインフレ確報が物価圧力の根強さを裏付け、コアHICPは数年ぶりの高水準となる2.6%に達した。このデータは、ECBが主要リファイナンス金利を現行の3.75%から急いで引き下げる状況にないとの当社見方を補強する。こうした政策差は、当面ユーロの下値を支える要因になり得る。
地政学的不確実性と戦略的ポジショニング
地政学リスクは、脆弱な米・イラン合意を背景に、複雑性をさらに増している。歴史的に、中東で原油供給を脅かす事象は安全資産志向を促し、米ドルを押し上げやすい。当社は原油オプションを注視しており、ブレント先物のボラティリティは今回の緊張再燃を受けてすでに急上昇している。
ドルを巡って相反する材料が交錯するなか、当社はオプション市場を通じて現行レンジからのブレイクに備えたポジション構築を検討している。EUR/USDが1.1600を下回って推移する局面では、ユーロ・コールを買い、ユーロ・プットを売るリスクリバーサル戦略が適切とみられる。これにより、上方向の可能性に備えつつ、取引コストを抑制しやすくなる。
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