最近のG10中銀の政策決定は結果がまちまちだったにもかかわらず、EUR/USDを従来のレンジ内に押しとどめている。過去1週間では、RBA(豪準備銀行)、カナダ銀行、リクスバンクの3中銀が金利を据え置いた一方、日銀とECB(欧州中央銀行)は利上げに踏み切った。それでも利上げ組の2中銀は、週次のG10通貨パフォーマンス表では中位にとどまり、より広範な為替変動への波及が限定的であることを示唆している。
ユーロは成長見通しの軟化が重しとなっている。ユーロ圏は、紛争開始以降、他地域と比べて2026年および2027年のGDP予測の下方修正幅が最も大きい。ソシエテ・ジェネラルは、EUR/USDは時間をかけて1.20ではなく1.12へとじり安になると見込むが、レンジ相場を明確なトレンドへ転換させるには新たな材料が必要だとしている。また、ハト派的な結果で恩恵を受けやすい取引として「USD/JPYショート」と「USD/SEKショート」を挙げる一方、タカ派サプライズはユーロの一段安を意味すると位置づけている。
EUR/USD見通し:レンジ継続も下方向に傾斜
当社はEUR/USDがレンジ内にとどまっているとみるが、今後数週間は明確に下方向へのバイアスが強いと判断する。直近の中銀会合は大きなショックをもたらしていないものの、基礎的な経済環境はユーロ安を支持している。目標は、足元の1.1450近辺から1.1200水準へとじりじり下落する展開に据え置く。
ファンダメンタルズ面の圧力は、成長見通しの乖離に起因し、最近その傾向が一段と鮮明になっている。欧州委員会はドイツの鉱工業生産の弱さを理由に、ユーロ圏の2026年GDP成長率予測を0.8%へ引き下げた。これに対し米国では、5月雇用統計が21万人の雇用増を示すなど堅調で、成長予想は1.9%近辺で比較的安定している。
売買戦略と注目すべきカタリスト
デリバティブ取引の観点では、緩やかな下落が続くとの見立てから、オプションを「買う」よりもプレミアムを「売る」戦略が有利になりやすい。CVIX(通貨ボラティリティ指数)が6.5近辺と市場のボラティリティが低い局面では、プット購入はタイムディケイ(時間価値の減少)でコストがかさみやすい。当社は、7月後半〜8月満期のアウト・オブ・ザ・マネーのEUR/USDコール・スプレッド売りが、想定される下落に備える有効な手段と考える。
この戦略は、リスクを限定しつつプレミアムを獲得でき、上値を切り上げられない相場特性を収益機会に変えられる。歴史的に、低ボラティリティと明確な成長率格差が同時に進む局面は、急落というよりも、緩慢でトレンド的な動きに移行しやすい。したがって当社は、方向性に加えて時間の経過からも利益を得られる戦略を選好する。
現状の落ち着きを破るには、インフレ指標のサプライズや、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派方向へのシフトといったカタリストが必要となる。それまでは弱気バイアスを維持し、短期的な戻り局面では売り機会を探る。勢い増加のトリガーとなり得るため、今後発表される米インフレ指標を注意深く監視したい。
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