AUD/USDは、豪準備銀行(RBA)のタカ派的な据え置きを受けて火曜日に反発したものの上値を伸ばせず、水曜日も2日連続で軟調に推移した。ただし、市場が2日間の日程で行われるFOMC会合の結果を待つなか、0.7050は上回って下げ渋った。米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間後半に決定を公表する予定で、政策金利は据え置きが見込まれる一方、インフレの粘着性が続くなかで緩和バイアスからの転換が意識されている。注目は声明文、最新の経済見通し、ドット・プロットに集まり、さらにパウエル議長の記者会見が米ドルの方向感と通貨ペアの短期モメンタムを左右しそうだ。
イベントリスクを控え、センチメントは2026年初に始まった戦争の終結を目指す米国・イランの暫定和平枠組みへの楽観で形作られている。了解覚書には60日間の停戦、ホルムズ海峡の再開、イランの核開発計画を巡る技術協議への道筋が盛り込まれ、これが米ドルを月曜日の週間安値近辺に押しとどめる一因となった。加えてRBAのガイダンスと相まって豪ドルも支えられている。RBAは、これまでの引き締め効果を見極めるとして政策金利(キャッシュレート)を4.35%に据え置いたが、インフレが高止まりする場合には追加利上げの可能性も示唆。これを受け、先月付けた約4年ぶり高値(0.7275-0.7280)からの調整局面で、押し目買いを積極的に追いかけることには慎重姿勢が広がっている。
FOMC決定とイベント主導のボラティリティ
当社は、AUD/USDが0.7050を上回る水準で持ち合う展開を想定している。本日のFRB決定を前に、市場が様子見姿勢を強めているためだ。足元では、RBAの「タカ派的な据え置き」が当面の下値を支える要因となっている。ただし、次の大きな値動きを主導するのは、FRBの新たな経済見通しとドット・プロットになる公算が大きい。
当社の見立てでは、5月の米CPIが粘着的な3.8%となったことで、FRBが政策緩和を示唆できる余地は小さい。新たなドット・プロットで長期金利見通しが上方修正されるかどうかを精査したい。ケビン・ウォーシュ議長による初の本格的な記者会見は、データ依存・インフレ抑制重視のスタンスを強調する可能性が高い。
地政学と豪州ファンダメンタルズの影響
足元の米国・イラン和平枠組みは、米ドルにとって大きな逆風となっており、安全資産需要を低下させている。この影響は原油にも及び、ホルムズ海峡再開の報を受けてWTI原油はこの1週間で95ドル超から88ドル近辺へ下落した。リスクセンチメントの改善は一般に、豪ドルのようなコモディティ連動通貨の追い風となりやすい。
当社の評価では、RBAが示した将来の追加利上げの警告は信頼性が高い。豪州の1-3月期インフレ率は依然4.5%と高水準にあり、5月の失業率も3.9%で低位安定していることから、労働市場の逼迫が確認される。これらは中銀がタカ派姿勢を維持する根拠となり、豪州経済の基礎体力はAUD/USDの大幅な下押しを限定するとみられる。
FOMCは結果が二分されやすいイベントであるため、当社は明確な方向を決め打ちする取引はリスクが高いと考える。AUD/USDの1週間インプライド・ボラティリティは14.5%へ急上昇しており、市場が上下いずれにも大きな値動きを織り込みつつあることを示す。このため、方向性に賭けずに変動の拡大を取り込むストラドルやストラングルといったオプション戦略が有効になり得る。
足元の値動きは、先月の約4年ぶり高値(0.7280近辺)からの健全な調整局面と位置付けている。これは、2022年の引き締め局面で見られた「利上げ停止=利上げ終了ではなく、データ確認のための一時停止」という局面に似ている。FRBがタカ派的に据え置けば0.6900方向への下押し圧力が強まり得る一方、中立的なスタンスであれば0.7200の再トライも視野に入る。
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