EUR/USDは水曜日のアジア早朝、1.1610前後で小動きとなった。市場はこの日の米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定と、米5月小売売上高の発表を控え、様子見ムードが強い。FRBは6月会合で政策金利(FF金利誘導目標)を3.50%~3.75%で据え置く見通しで、今後の政策経路を示す手がかりとして記者会見の内容に注目が集まる。CMEのFedWatchツールによれば、市場は年末までに25bp利上げが行われる確率を42.6%と織り込んでおり、タカ派方向へのシフトがあればドルの下支え材料となり、EUR/USDの重しとなり得る。
地政学面でも材料視が続いており、ホルムズ海峡の再開に向けた合意観測は、ユーロを含むリスク資産に追い風とみられている。ワシントンではJD・バンス氏が、ドナルド・トランプ氏が金曜日までにイランとの戦争終結に向けた暫定合意を公表する可能性があると述べた。こうした環境の背景には、FRBの2%インフレ目標と「物価安定」と「最大雇用」という二重の使命があり、量的緩和(QE)や量的引き締め(QT)といった手段が流動性環境を左右し、ドル相場に影響を与え得る。
Fed Policy, Guidance, and Market Volatility
FRBが本日、政策金利を3.50%~3.75%で据え置くなか、市場の焦点は将来のガイダンスに完全に移った。ウォーシュ議長の発言は予想外にタカ派的で、政治的圧力があるにもかかわらず、インフレとの闘いは終わっていないことを強調した。市場がワシントンの要求との乖離を消化する過程で、ボラティリティが高まりやすい環境になると当社はみている。
FRBの不確実性は、ボラティリティを活用するデリバティブ戦略にとって好機となる。直近の米指標ではコアインフレ率が3.4%と粘着的に推移しており、FRBの強硬姿勢を裏付ける材料となった。EUR/USDの3カ月インプライド・ボラティリティが相対的に低い6.1%近辺にあることを踏まえると、上下いずれの方向への大きな値動きでも収益機会を狙えるストラドルやストラングルの買いに妙味があると判断する。
市場は現在、9月までに25bpの利上げが実施される確率を65%超と見積もっており、先週の42.6%から大きく上方修正された。こうしたタカ派方向の再織り込みはドルの底堅さにつながりやすく、明確な触媒がない限り、ドル安を見込むポジションはリスクが高い。当社はEUR/USDが1.1650近辺へ上昇する局面では、ドル高の恩恵を受けるポジションを構築する方針だ。
Geopolitical Wildcards and Data-Driven Strategies
最大の不確定要因は、ホルムズ海峡再開に向けた合意の可能性だ。こうした「リスクオン」の事象が実現すれば、ドルは弱含みとなり、足元でブレント原油が1バレル=81ドル超で推移するなか、原油価格が急落する可能性がある。これはFRBのインフレ見通しを複雑化させ、ユーロ高を誘発し得る。
この地政学イベントは結果が二極化しやすい性質を持つため、アウト・オブ・ザ・マネーのEUR/USDコールオプションの購入は、低コストでサプライズ的な和平合意に備える手段となる。合意が確認されれば、1.1700のレジスタンスを素早く上抜ける展開も想定される。一方で、協議が頓挫し、安全資産志向でドルが上昇した場合でも、戦略上の下振れリスクは限定される。
また、消費の強弱を測るため、米5月小売売上高にも注目している。4月は市場予想を上回る前月比0.4%増となっており、今回も強い結果となれば、FRBのタカ派姿勢を補強する。一方で、弱い結果となれば利下げ観測が再燃し、ドルに大きな下押し圧力がかかる可能性がある。
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