金は火曜日、1オンス=4,325ドル近辺で推移し、日中高値の4,355ドルから後退しつつも4,300ドル台を維持した。市場は、米国・イランの和平枠組みの詳細と、水曜日に予定される米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定を見極めようとしている。イラン外相は、イスラエルによるレバノンへの攻撃や占領の継続は暫定合意に抵触すると述べた。一方、ヒズボラは、イスラエル撤退なしにテヘランがワシントンと核合意を最終化しないとの確約を得ていると主張した。ドル安と原油安が金相場を4日続伸で下支えしたものの、金利イベントと金曜日に最終合意が見込まれること、さらにインフレ率がFRBの2%目標を上回っていることを踏まえ、ポジションは慎重姿勢が続いた。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の「2026年 中央銀行金準備調査」によると、回答者の45%が今後12カ月で金準備を増やすと見込む。報告書は、過去4年間の中央銀行の購入量が年平均1,000トンに達し、直前の10年のペースの2倍であると指摘した。テクニカル面では、XAU/USDは200日・100日移動平均線(SMA)を下回り、日足RSIは44、MACDヒストグラムはマイナス圏にとどまる。上値抵抗は4,458ドル近辺、その上は4,755ドルが意識される一方、下値支持は4,000ドル近辺に位置する。
イベント主導のリスクとポートフォリオ戦略
現状は大きなイベントリスクに規定されており、今週はFRBの判断と米・イラン合意の署名が重なる見通しだ。金価格が4,300ドル台にあることを踏まえると、強い方向感に賭けるよりも急変動への備えを優先するのが妥当である。向こう数日は、資本保全とイベント通過後のボラティリティに備えたポジショニングが主眼となる。
2026年5月の最新CPIは前年比3.9%となり、FRBがタカ派スタンスを維持せざるを得ない圧力はなお強い。FF金利先物では、今週は据え置きが見込まれる一方、9月までに少なくとも1回の追加利上げが行われる確率を65%織り込んでいる。中銀が予想以上に引き締め的な文言を示せば、金の4,000ドルのサポートが急速に試される可能性がある。
インプライド・ボラティリティは高止まりしており、GVZ(ゴールド・ボラティリティ指数)は21.5まで上昇、材料前の市場の神経質さを映している。こうした局面では、ストラドルやストラングルといったオプション買いが、方向性を当てずに大きな値動きから収益機会を狙える戦略として魅力的だ。こうした二者択一的なイベントをまたいで裸の先物ポジションを保有するより、合理的なアプローチだとみる。
テクニカル見通しと長期的な機会
テクニカル面では、金が主要な100日・200日移動平均線を下回っており、より広い時間軸での弱気バイアスを確認する内容となっている。ロングを保有する投資家にとっては、権利行使価格4,100ドル近辺のアウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを購入することが、コスト効率の良いヘッジになり得る。地政学面のネガティブサプライズやFRBのタカ派化に対する明確な安全網を提供するためだ。
もっとも、目先のリスクがある一方で、近年年1,000トン超の平均を維持する中央銀行買いは、長期的に強力な下支え要因である。これは、主権需要が市場混乱時の価格の底堅さを形成した2010~2012年局面を想起させる。従って、今週のニュースに起因する大幅下落局面は、中長期の買い機会となる可能性がある。
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