中国の5月の経済活動指標は強弱まちまちだった。小売売上高は前年比0.6%減と、予想の0%を下回り、4月の0.2%増から反転。一方、鉱工業生産は前年比4.5%増と、予想の4.3%を上回り、前回の4.1%増から伸びが加速した。固定資産投資は年初来(前年比)でマイナス4.1%へ悪化し、市場予想のマイナス2.0%および4月のマイナス1.6%を下回った。発表後、豪ドル/米ドル(AUD/USD)は当日比0.18%安の0.7060となった。
これらの指標が豪ドルにとって重要なのは、中国が豪州最大の貿易相手国であり、中国需要の変化が豪州の成長・インフレ見通しに影響し得るためだ(RBAが中国指標のみを根拠に政策を決めるわけではない)。テクニカル面では、AUD/USDは100日移動平均線(SMA)を上回れず、同線は0.7085付近。RSIは中立水準の50に対して44前後に位置している。小売売上高は小売業者が販売した財の金額を追跡し、個人消費の指標として広く用いられる。一般に、結果が強ければ人民元(CNY)高、弱ければ人民元安と結び付けて解釈されやすい。インフレは通常、CPIで評価され、前月比(MoM)・前年比(YoY)で示される。中央銀行はコアインフレを2%近辺に誘導するケースが多い。
中国減速と豪ドル
直近の中国指標は減速シグナルを継続して発しており、豪ドルの重しとなっている。5月の小売売上高は2.3%増にとどまり、予想の3.0%を下回るなど、消費の弱さが示唆された。中国は豪州最大の貿易相手国であるため、こうした需要の鈍さは豪ドルの先行きを直接的に下押しする。
この影響は、豪ドルの主要ドライバーであるコモディティ市場にも表れている。鉄鉱石価格は足元で1トン当たり105ドル前後へ下落し、先月の115ドル超から水準を切り下げた。中国の不動産不況や粗鋼生産の減少懸念を映しており、豪州の主要輸出品に対する需要減を示唆するため、通貨の上値余地を抑えやすい。
AUD/USDの取引戦略
取引面では、AUD/USDは重要な50日移動平均線(現在0.6620)を下回って推移し、RSIも50を下回る水準で売り手優勢を示している。モメンタムの明確な転換には、この移動平均線を持続的に上抜ける展開が必要だとみている。
こうした環境下では、AUD/USDの続落、あるいはレンジ相場での推移のいずれでも収益機会を狙う戦略を検討する。7月に向けた一段安に備えるなら、権利行使価格0.6500近辺のプットオプション購入は分かりやすい選択肢となる。損失が限定される一方、下方向への値動きから利益を得やすい。
豪ドルが急落するより上値が抑えられるとみる向きには、アウト・オブ・ザ・マネーのコール・スプレッド売りという選択肢もある。7月満期で0.6650コールを売り、0.6700コールを買う戦略は、AUD/USDがその水準を下回って推移すればプレミアムを獲得できる。上昇余地が限られるとみる局面で、収益獲得を狙う手法として有効となり得る。
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