円は、米国の工場関連指標が弱含んだことを受けて米ドルが軟化するなかで底堅さを示し、ドル/円は火曜日の日銀の政策金利決定を前に慎重な値動きとなった。米鉱工業生産は5月に前月比0.1%増と、市場予想の0.3%増を下回り、前回の0.9%増から伸びが鈍化した。こうしたモメンタムの減速はNY連銀製造業景況指数(エンパイア・ステート指数)にも整合的で、6月は5.7と、コンセンサスの14および5月の19.6を下回った。
市場は、日銀が短期政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げるかどうかに注目している。実現すれば借入コストは数十年ぶりの高水準となり、ドル/円は中銀のスタンス(トーン)に左右されやすい。4時間足では、ドル/円は160.07で推移し、100期間単純移動平均(SMA)の159.78は上回る一方、20期間SMAの160.29は下回った。相対力指数(RSI)は45近辺。サポートは160.03、159.99、159.89が挙げられ、レジスタンスは160.16、次いで160.29近辺とされた。
日銀決定を前に円に注目
日銀の政策金利決定を明日に控え、市場の焦点は円に集中している。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)が利上げ確率を85%程度織り込むなど、政策金利を1.00%へ引き上げるとの見方は広く共有されているが、実際の相場を動かすのはその後のガイダンスになるとみている。追加引き締めを示唆するタカ派的なトーンが示されれば、それが円高の主要なカタリストになるだろう。
米国指標の弱さ、とりわけ鉱工業生産の下振れは、ドル/円の押し下げに追い風となる環境を提供している。これは先週の新規失業保険申請件数が24万5000件へ増加したことにも続くもので、米国経済に一定の軟化が入りつつある可能性を示している。日本が引き締めに向かう一方で米国が軟化し得るという「かい離」は、当方の見立てを後押しする。
こうした状況を踏まえ、当方は下方向の動きに備え、ドル/円のプットオプション購入を検討している。権利行使価格158.50近辺で満期を7月下旬とする設定は、コストと、日銀がタカ派サプライズを示した場合のリターンのバランスが良い。オプション戦略はリスクを限定しつつ、円高へのエクスポージャーを確保できる。
イベントリスクとオプションを用いた戦略的ポジショニング
もっとも、「噂で買って事実で売る」展開には注意が必要だ。2024年初頭にも、広く予想されていた政策変更が、初動で円にとって直感に反する方向へ動く結果を招いた例があった。日銀が利上げしても将来についてハト派的なメッセージとなれば、ドル/円は急速に上振れする可能性がある。
この二者択一のリスクを踏まえると、インプライド・ボラティリティは高く、ロング・ストラドルのような戦略が有効になり得る。日銀発表前後で大きな値動きが生じる可能性が高く、いずれの方向への大幅変動からも利益機会を狙えるためだ。当方は、今週末満期のアット・ザ・マネー(ATM)・ストラドルを検討し、当面のイベントドリブンの値動きを取り込む構えである。
今週を超えて見れば、政策の方向性のかい離というファンダメンタルズは引き続き当方の中心仮説である。金利先物は、FRBが年後半に利下げを開始し得ることを示唆する一方、日本は引き締めサイクルの初期段階にある。これにより、年後半を通じて円は対ドルで中長期的な追い風を得る公算が大きい。
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