ブレント原油は1バレル=80ドル近辺へ反落。米国とイランの合意を受けて供給見通しの改善が織り込まれ、トレーダーはホルムズ海峡での海上輸送がより通常に戻ると見込んでいる。足元の動きは、衝突の緊張緩和期待がエネルギー市場の価格形成に反映され、直近の混乱後に指標油種を押し下げた格好だ。
一方、価格には下値のめどもあるとの見方が示された。原油は、紛争前の水準である70ドル割れへは戻りにくいとの見立てで、供給が本格的に戻るまでの時間、在庫の取り崩し、そして合意破綻リスクに結び付いた地政学リスク・プレミアムの継続が根拠とされる。
Market Dynamics and Supply Outlook
米・イラン合意によりブレント原油が80ドル近辺へ押し戻される中、今後数週間は明確なレンジ相場が形成されるとみている。供給正常化の可能性を市場が消化する過程で、当面の下押し圧力は現実的だ。ただし、今年初めに見られた70ドル割れ水準までの急落は想定しない。
供給環境は価格の強固な下支えとなっており、積極的なショート(売り)ポジションはリスクが高い。米エネルギー情報局(EIA)の最新データによれば、米国の原油在庫は4億5,590万バレルと、同時期の過去5年平均を約4%下回っている。供給の「クッション」が薄いことを意味し、小さな供給障害でも価格が急伸しやすい。
さらに、イランの輸出が実質的に増加し、世界供給に影響を与えるまでには少なくとも60〜90日を要すると見込む。このタイムラグにより、当面は現行のタイトな需給が続く公算が大きい。これが弱気一辺倒の見方を抑制し、価格を70ドル台後半で下支えする。
Volatility, Risk Premiums, and Strategic Positioning
オプション市場も不透明感の残存を示している。原油ボラティリティ指数(OVX)は32近辺で推移し、長期平均とされる25前後を大きく上回る。高水準のボラティリティは、政治合意が脆弱であることを市場が認識している表れだ。こうした環境は、下方ヘッジを売ってプレミアムを獲得する機会になり得る。
この見通しを踏まえ、アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプション売りを検討している。例えば、権利行使価格70〜75ドルの8月・9月限プットを売ることで、時間的価値の減少(タイムディケイ)と高いボラティリティ・プレミアムの双方を収益源にできる。この戦略は、ブレント原油がこれらの水準を割り込まない限り有効となる。
今回の局面は、2015年のJCPOA(包括的共同作業計画)合意後の局面に似ている。当時は供給回復が段階的で、地政学リスク・プレミアムの剥落も緩やかだったため、価格は急落ではなく安定化に向かった。今回も同様のパターンが進行し、レンジ取引戦略に追い風となる環境が形成されると予想する。
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