EUR/USDは前日小幅安の後、月曜アジア時間に1.1610近辺で小幅上昇した。リスク回避が後退する中、米ドルが軟化したことが背景。米国とイランが約4カ月に及ぶ戦争を終結させ、ホルムズ海峡を再開する和平合意に達したと報じられたことを受け、地合いが転換した。合意には、全戦線における軍事行動の即時かつ恒久的な停止が盛り込まれ、レバノンにも言及があった。イランの国家安全保障会議は停戦の枠組みを確認し、覚書に基づくコミットメントが履行され次第、最終協議を開始すると表明。イラン当局者は、海上封鎖の即時かつ全面的な解除を求めた。
また、市場の関心は欧州中央銀行(ECB)が3年ぶりに利上げに踏み切ったことにも向かった。燃料費上昇に伴うインフレ加速を先回りして抑制する予防的措置と位置づけられている。ECBはヘッドライン(総合)インフレ見通しを2026年3.0%、2027年2.3%へ引き上げ、従来の2.6%、2.0%から上方修正した。コアインフレ見通しも2026年・2027年ともに2.5%へ引き上げ、従来の2.3%、2.2%を上回った。マネーマーケットは追加利上げを織り込み、9月が最有力、7月の可能性も残る。
地政学的進展とECBの政策スタンスの乖離が与える影響
米国・イランの和平合意により、世界的な不確実性の主要因が取り除かれたことで、今後数週間は米ドルの安全資産としての魅力が大きく後退すると見込まれる。これによりリスク感応度の高い通貨に追い風が吹き、EUR/USDは足元1.1610水準から上値追いを継続するとみる。市場はリスクオフからリスクオンへ傾斜しており、一般的にこれはドルの重しとなる。
ホルムズ海峡の即時再開はエネルギー市場に大きな影響を及ぼす。同海峡は世界の石油液体消費の約5分の1を扱う要衝であり、閉鎖が原油価格の高止まり要因となっていた。ブレント原油は直近高値から急落し、1バレル70ドルを下回る可能性もあると見込まれ、世界的なインフレ懸念を和らげ、ドル需要の低下を一段と促す材料となる。
ドルが弱含む一方、ユーロはECBの政策面からファンダメンタルズの支援を得ている。今回の利上げとインフレ見通しの上方修正は引き締め継続へのコミットメントを示し、マネーマーケットでは9月までの追加利上げ確率を85%程度まで織り込む。タカ派的なECBと、安全資産としての重要性が低下するドルという政策スタンスの乖離が、ユーロに強い追い風となる。
低ボラティリティ環境におけるトレーディング戦略
今回の地政学的決着は、資産クラス全般のインプライド・ボラティリティを押し下げる可能性が高い。過去の例では、大規模紛争の終結後、先行き不透明感の後退により、VIXなどのボラティリティ指数が数週間で15〜20%低下することがある。これは、いわゆる「ボラティリティ・クラッシュ(vol crush)」によりオプション価格が目減りしやすく、単純なオプション買いの妙味が薄れることを意味する。
このため、EUR/USDに強気でありつつ、ボラ低下も織り込める取引の構築を志向する。例えばブル・コール・スプレッドとして、7月限1.1650コールを買い、同時に7月限1.1800コールを売る戦略が有効だ。通貨ペア上昇の恩恵を得ながら、支払プレミアムを抑え、オプション・プレミアム低下の影響を緩和できる。
別案としては、プレミアム売りが有力な戦略となり得る。EUR/USDのアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)プット・スプレッドの売り、例えば1.1500プットを売り、ヘッジとして1.1400プットを買う構成が考えられる。この戦略は収益機会を生み、満期までにレートが売りストライクを上回って推移すれば利益となる。時間価値の減衰(タイムディケイ)と、想定されるボラ低下の双方から恩恵を受ける。
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