カナダ・ナショナル銀行のストラテジストは、水曜日に予定されるケビン・ウォーシュ氏(FOMC議長)として初となる利上げ・利下げ判断が、ジェローム・パウエル氏の後任がFRBをどのように運営するのかを明確にするとみており、その変化の中核にあるのは「コミュニケーション」と「反応関数」だと指摘する。ウォーシュ氏は、インフレ率は依然として高すぎるとしつつも、PCE(個人消費支出)から食品・エネルギーを除いた指標が基調的な価格圧力の最良の代理指標なのかに疑問を呈してきた。同氏は「トリム平均(trimmed average)」の活用を主張し、足元ではそれが「かなり好ましい」トレンドを示しているとも述べている。同銀行は、たとえ現行の物価データが金融緩和と整合しないとしても、ウォーシュ氏がインフレ見通しをより落ち着いた(ハト派寄りに聞こえる)形で位置づける可能性がある、と読み取っている。
ストラテジストはまた、FRBの二重の使命(雇用最大化と物価安定)のうち、どちらに重心を置くかの「再調整」を示唆している点にも言及する。ウォーシュ氏は、社会・政治・気候といったテーマへの「ミッション・クリープ(任務の肥大化)」とみられる動きを批判してきた。承認公聴会では雇用最大化へのコミットメントを確認したものの、議論の比重は物価安定に置かれていたという。さらに同氏は、ポスト・コロナの政策ミスはフォワードガイダンスに起因するとし、経済・インフレ・金利見通しの頻繁な公表が当局者を硬直的な見方に縛り、新たな環境変化への対応を遅らせうると主張してきた。また、当局者は話しすぎで、意思決定は「部屋の中」で行うべきだとも示唆している。
新たなFRB政策アプローチへの市場の適応
ケビン・ウォーシュ氏がFRBを率いるいま、より予測困難な政策環境への適応が必要だ。同氏の初会合(先週水曜日)は、明確なフォワードガイダンスからの転換を確認するものとなり、FRBからのシグナルを手掛かりに売買する従来の「古い手引き」は終わった。今後数週間から数カ月にかけて、市場のボラティリティは構造的に高まりやすいとみる。
当社は、ボラティリティの保有がいまや主要なトレードだと考える。米国債市場の変動性指標であるMOVE指数は今週すでに115へ急伸し、1カ月前の90台前半から上昇している。経済指標の発表前後に起こり得る値動きの拡大から収益機会を得るため、金利先物や主要株価指数に対するストラドルやストラングルといったオプションの購入を推奨する。
金利・ドル・市場コミュニケーションへの含意
金利のパスは上振れ方向に偏っているように見える。5月の総合PCEインフレ率は2.6%と許容可能な水準だった一方、ウォーシュ氏が重視するトリム平均PCEは3.1%と高止まりしており、タカ派スタンスを維持する余地を与えている。したがって当社は、短期金利が粘着的に高い水準にとどまると見込み、SOFR先物を用いてイールドカーブのフラット化を狙うポジションを構築している。
この政策バイアスは米ドルにとっても強材料だ。ドル指数(DXY)はすでに106.50を上回っており、米国では欧州よりも利下げ期待がより積極的に後退することで、さらなるドル高が進むとみる。当社は、ユーロおよび円に対する米ドルの短期コールオプションを購入している。
会合間にFRB高官の頻繁な講演に依拠してポジションを誘導することは、もはやできない。政策が「部屋の中」で決められるという新たなコミュニケーション様式は、FOMC声明と議長記者会見の重要性を一段と高める。これは、明示的なガイダンスではなく文言の微妙な変化から政策転換を読み解く必要があった2008年以前の時代を想起させる。
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