米国とイランの和平合意の可能性をめぐる観測は、米ドルにかかっていた圧力をいくらか和らげたものの、DXY指数は底堅さを維持している。市場心理はここ数週間のエネルギー価格の軟化に影響されており、新たな「60日間」の取り決めによってホルムズ海峡が再開し、イランの原油輸出が再開されるとの見方も背景にある。とはいえ、より大きな環境としては依然、エネルギー供給の減少とそれに伴うインフレ・ショックが意識されており、原油輸送が速やかに正常化しない場合、通貨は下支えされやすい。
金融政策期待もドルを支えている。短期の米金利は低下しているが、市場は年内にFRBが20bpの追加利上げを行うとの織り込みを続けている。この見方は、来週水曜日のFOMC(声明と経済見通しの更新を含む)を前に、解消しにくい可能性がある。こうした複合要因のもと、DXYはECBのタカ派的なトーンや湾岸地域での停戦期待の改善があっても、99.50近辺で下支えを見いだす展開が想定される。
米ドルとオプション市場の戦略
和平協議をめぐる思惑があるにもかかわらず、米ドル指数は底堅く推移している。99.50近辺に強いサポートが確認されるなか、ドル先物やドル連動ETFに対してアウト・オブ・ザ・マネーのプットを売り、プレミアムを獲得する戦略は妥当な選択肢となり得る。この戦略は、今後数週間にわたりドルがこの下値支持線を上回って推移すれば収益となるが、当方はその可能性が高いとみている。
エネルギー価格、インフレ、FRB見通し
原油市場の軟化は脆弱に映り、真のリスクは、イランの供給が顕在化しない場合に7月にかけて価格が急騰する点にあると考える。足元のWTI原油は1バレル当たり約88ドルだが、ホルムズ海峡が引き続きチョークポイントとなるリスクを十分に反映していない。突発的なインフレ・ショックへのヘッジとしては、原油の中期コールオプションを買うことが有効だろう。
コアCPIの最新データは3.8%と依然高止まりしており、FRBの仕事は終わっていない。CMEのFedWatchツールによれば、市場は年内の追加利上げ確率を高く見積もっており、この見方は来週の会合でも変わらないと当方はみている。これは、短期金利先物が引き続き上値の重い展開になりやすく、下落方向を見込むポジションが継続的な戦略となり得ることを示唆する。
この環境は、地政学的なエネルギーリスクがインフレ重視の中央銀行と衝突した過去局面を想起させる。歴史的に、こうした組み合わせはドルに強い追い風となりやすい。ドルは世界的な不安定化とインフレ双方に対する安全資産として選好されるためだ。したがって、当方はドルの押し目を買い場と捉えており、特にFOMCを前にした局面ではその傾向が強いと考える。
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