MUFGは、米インフレの強含みと労働市場の底堅さを受け、世界的に「高金利の長期化(higher-for-longer)」環境が強まり、米ドルを下支えするとみている。同行は来週について、米国、日本、主要アジア経済圏で中銀会合が相次ぐ「過密日程」と位置づけており、金利見通しを高止まりさせ、為替のプライシングを左右し得ると指摘する。また、中東情勢を巡る地政学リスクの継続が、アジア通貨の選別を促す要因になるとも述べている。
米国の小売ガソリン価格は小幅に低下したものの、紛争前の水準をなお上回っており、インフレに波及し続けている。総合CPIは前年比4%を超えて上昇し、1年先インフレ期待も一段と強含んでおり、二次波及(セカンドラウンド)リスクを高めるとともに、FRBの緩和余地を制約している。MUFGは、次回FOMCでFRBは政策金利を据え置くと予想しつつ、米ドルおよびアジア通貨にとっては会合のフォワードガイダンスが最大の焦点になるとしている。
高インフレと底堅い労働市場を背景にしたドル高
今後数週間、米ドルは上昇基調を強める局面にあるとみている。インフレの強さと、予想外に底堅い労働市場の組み合わせが「高金利の長期化」を支える。こうした環境は、他通貨よりもドルを保有する魅力を高める。
当社のカレンダーで最大のイベントは、次回の米連邦準備制度理事会(FRB)会合である。利上げ・利下げは見込まないが、ウォーシュ議長のフォワードガイダンスは市場のボラティリティを大きく高める可能性がある。この発表前後の値動きの拡大を想定してポジションを構築している。
この見通しを収益機会につなげる手段として、米ドル指数(UUP)のコールオプション買いにより、広範なドル高の恩恵を狙うことを検討している。直近データもこの見方を裏付けており、最新のCPIではコアインフレ率が4.1%と高止まりした。FRB目標を大きく上回る水準であり、政策緩和の検討余地を狭める。
FX・金利市場における戦術的な機会
労働市場もなお逼迫している。5月の雇用統計では就業者数が21.5万人増と市場予想を上回った。この強さは、需要を冷ますために金利を高水準に維持する論拠をFRBに与える。結果として、よりハト派的な中央銀行にひも付く通貨には弱材料になりやすいと考える。
具体的には、ドル円(USD/JPY)のコールオプション買いを検討している。タカ派的なFRBと、緩和的姿勢が続く日銀という政策スタンスの乖離が、ドル円の上昇方向への明確な道筋を作る。過去を振り返っても、こうした政策ギャップは為替市場で持続的なトレンドを生みやすい。
想定される市場の不安定化(レンジの荒れ)を踏まえると、ボラティリティそのものにも機会がある。たとえばユーロ/ドル(EUR/USD)ではストラドルなどのオプション戦略が有効になり得る。FRB声明後に上下いずれかに大きく動けば収益化できるためだ。Cboeボラティリティ指数(VIX)はすでに16.8へ上昇しており、市場が新情報に備えていることを示唆する。
最後に、金利デリバティブも注視している。米2年国債利回りは足元で4.8%近辺にあり、市場は高金利の継続を織り込んでいる。国債先物オプションを用いることで、当面は利回りが大きく低下しないという見方を表現できる。
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