円相場は、かつて当局の為替介入を招いた水準へ再びじり安となり、USD/JPYが従来の心理的節目を上抜けるなか、対米ドルで割高感の強い水準で推移している。市場は次回会合で日銀が25bp(0.25%)の利上げに踏み切るとの見方をほぼ織り込んでいるが、植田和男総裁が入院のため欠席しており、会合後のコミュニケーションを巡る不透明感が残る。
国内ファンダメンタルズは、なお政策正常化を示唆している。賃金上昇、底堅い景気、エネルギー主導のインフレが基調的な物価圧力を下支えする一方、物価統計のヘッドラインは政府補助金の影響で一時的に歪む可能性がある。インフレ率は2027年にかけて概ね2%前後で推移すると見込まれ、政策金利は来年前半に1.50%へ到達するとの予測もあり、利上げ局面が2027年まで長期化することを示唆する。また、国債買い入れの減額(テーパリング)運営は、時間の経過とともに国債利回りを押し上げると見込まれる。短期的にはテクニカル要因から円安余地が残り、USD/JPYは162.00まで目立った上値抵抗が限定的とされる一方、今後1年は金融引き締めが下落(円安)の抑制に寄与すると見られる。
Near-Term Volatility and Options Strategies
円は弱含みが続き、USD/JPYは足元で160.50近辺で推移している。これは2024年に財務省が直接介入に踏み切った水準に相当する。日銀会合を前に、短期的なボラティリティの高まりが見込まれる。不確実性が高い局面では、上下いずれかに大きく動けば利益となるUSD/JPYのオプション・ストラドル(コールとプットの同時買い)を買う戦略が、今後数週間の選択肢として有効になり得る。
25bpの利上げは、強い経済指標に支えられ、市場でほぼ完全に織り込まれている。例えば、今年の春闘で確保された平均5.28%の歴史的な賃上げ率や、コアインフレ率が2%目標を上回って推移していることは、政策正常化の強固な基盤となる。ただし、日銀が予想通りの利上げにとどまり、タカ派的な将来方針(フォワードガイダンス)を示さなければ、「織り込み済み」で円が一段と下落する可能性がある。
上方向へのスパイクが起こり得ることから、USD/JPYは162.00までテクニカルな上値抵抗が乏しいとの見方がある。これを狙い短期のコールオプションを検討する余地はあるが、介入リスクには警戒が必要だ。2024年春には円防衛に9.8兆円が投じられた経緯がある。植田総裁が会見を欠席することで日銀のメッセージが曖昧になり、通貨ペアの上振れリスクが増す可能性もある。
Longer-Term Outlook and Positioning for Yen Strength
より長い時間軸では、日銀の利上げ局面が進むにつれ、円は緩やかに持ち直すと見込む。市場では、政策金利が2027年半ばにかけて1.50%へ向かう可能性が意識され始めており、資金が日本へ回帰する契機となり得る。この中長期シナリオでは、国債買い入れ減額の加速に関する言及があるかが焦点となる。これは円高メリットを得るポジション構築、例えば満期の長いUSD/JPYプットオプションの購入を始める重要なシグナルとなりうる。
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