ニュージーランド・ドルは0.5850を割り込み、米国の生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことを受けて米ドルが堅調となるなか、欧州時間序盤にNZD/USDは0.5820近辺で推移した。米PPIは5月に前年比6.5%へ上昇(前月5.7%)、前月比も市場予想の0.7%を上回る1.1%となり、2022年11月以来の高水準を記録した。次の手掛かりとして、市場の注目は米ミシガン大学の6月消費者信頼感指数(速報値)に移っている。
一方、ニュージーランドでは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)のよりタカ派的な姿勢が一定の下支え要因となった。アナ・ブレマン総裁は、政策金利(OCR)は従来示唆していたよりも「早期に、かつより大きく」引き上げられる可能性が高いと述べ、中東情勢に起因するインフレ、成長鈍化、ニュージーランドおよび貿易相手国での投入コスト上昇を背景として挙げた。RBNZは中期的にインフレ率1%〜3%を目標とし、中心は2%近辺に置いている。市場の織り込みは2027年初めにかけて複数回の利上げへとシフトしている。
短期的な圧力とトレーディング戦略
米PPIの強いインフレ指標を踏まえると、短期的にはNZD/USDに追加の下押し圧力がかかるとみる。市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の一段のタカ派姿勢を織り込むなか、米ドルは下支えされやすい。デリバティブ投資家は、NZD/USDの短期プット・オプションを購入し、0.5780のサポート水準への下落を狙う戦略を検討し得る。
もっとも、RBNZ自身のタカ派スタンスが、キウイ(NZドル)の全面的な崩れを防ぐ可能性がある。4月下旬に公表された最新の四半期CPIは4.5%と高止まりし、RBNZが政策金利を高水準で維持、あるいは追加利上げも辞さない構えを裏付けた。FRBとRBNZの政策スタンスの綱引きは、今後数週間でボラティリティ上昇につながる公算が大きい。
外部要因とボラティリティ見通し
ニュージーランド経済にとって、通貨の重しとなり得る外部逆風も織り込む必要がある。中国の5月鉱工業生産は前年比5.2%増とやや鈍化し、市場予想を下回った。さらに、今月上旬のグローバル・デイリー・トレード(GDT)オークションでは0.8%の小幅下落となり、主要輸出収入が強い追い風になりにくいことを示唆している。
中銀政策が相反し、外部データも強弱まちまちな環境は、ボラティリティ戦略に適している。相場が「米国の強いモメンタム」と「RBNZの下支え」の間で挟まれる展開が続くなら、アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを売るストラングル(プレミアム獲得)も有効となり得る。これは、同様の力学が明確なトレンドではなくレンジ相場の長期化を招いた2022〜2023年局面を想起させる。
先行きについては、下値は0.5750近辺で底入れしやすい一方、上値は0.5900近辺で抑えられる可能性が高いとみる。このレンジを上放れ・下放れするかどうかは、次回以降の米インフレ指標と、今後公表されるニュージーランドのGDP統計に大きく左右されるだろう。ブレイクアウトの可能性に対する市場の期待を測るため、オプションのインプライド・ボラティリティを注視していく。
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