ラボバンクは、メキシコ・ペソが年初来で対米ドル3.57%上昇している一方、月初来では下落していると指摘した。また、非商業部門(投機筋)のMXNネットロング(買い越し)ポジションが徐々に縮小しているとし、キャリートレードによる下支えが以前ほど魅力的でなくなるにつれて、この縮小が今後も続くと見込んでいる。
ストラテジストは、金利差の縮小とインプライド・ボラティリティ(予想変動率)の上昇が、MXNキャリーの妙味を損なう要因だと指摘。その一方で、相対的には多くの同業通貨より底堅く推移する可能性があると論じた。バンシコ(メキシコ中銀)はオーバーナイト政策金利を6.50%に引き下げた。市場では年末までに34bpの利上げが織り込まれているが、ラボバンクは中銀が据え置くと予想している。USD/MXNのインプライド・ボラティリティは、過去1カ月にわたり期間構造全体で概ね横ばいで推移しており、同行は3カ月先で同通貨ペアが17.9付近へ上昇すると予測している。
ペソ安の兆候とモメンタムの変化
メキシコ・ペソは今年これまで堅調なパフォーマンスを示してきたが、対ドルで弱含み、トレンドが反転しつつある兆候が見られる。足元のUSD/MXNが17.20近辺で推移していることは、こうしたモメンタムの変化を反映している。当社は、このペソ安が短期的なブレではなく、向こう1四半期でUSD/MXNが上昇基調に入る初動とみている。
この見方の主因は、ペソのキャリートレードの魅力が低下している点にある。メキシコの政策金利が11.00%と、米連邦準備制度理事会(FRB)の5.25%をなお大きく上回っている一方で、市場ではバンシコの将来的な利下げが織り込まれ、FRBは据え置きが意識されている。金利差の縮小は、ペソのロング(買い)ポジションを保有するインセンティブを弱める。
投機筋動向、ボラティリティ、ポジショニング戦略
大口投機筋もこの見通しに沿う形で、ペソ強気の持ち高を縮小している。米商品先物取引委員会(CFTC)の最新の建玉報告(Commitment of Traders)によれば、ペソのネットロングは3週連続で減少した。こうした機関投資家資金の流出は、より持続的な通貨安の前兆となることが多い。
キャリートレードの妙味が薄れるにつれて、通貨ボラティリティは直近の低水準から上昇すると見込む。USD/MXNの3カ月物インプライド・ボラティリティは、前四半期の11%割れからすでに13%近辺へ上昇しており、オプションはリスク管理においてより有効な手段となっている。これは、市場がペソの想定レンジ拡大を織り込み始めていることを示唆する。
当社は、3カ月先のUSD/MXNが17.90付近まで上昇するとの見通しを踏まえ、ペソ安進行に備えたポジショニングが有効だと考える。戦略の一つとして、権利行使価格が17.50前後またはそれ以上のUSD/MXNコールオプションを購入することが挙げられる。これにより、リスクを限定しつつ為替レート上昇からの収益機会を狙える。想定される上昇トレンドを取り込みやすい手法だ。
もっとも、ペソは相対的に高い利回りを有しており、他通貨に対しては一定の下支えが残るため、急落に至る公算は大きくない。このため、USD/MXNの上昇は緩やかで上下動を伴う展開となりやすく、2024年の選挙期間に見られたボラティリティ急伸局面に近い値動きとなる可能性がある。こうした環境では、一方向の直線的な動きに賭けるよりも、変動を織り込める戦略が優位となる。
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