円は水曜日も下落基調を続け、1ドル=160.00円を一段と下回る水準まで売られた。東京当局の介入が意識されやすい水準とされるなか、日銀の植田和男総裁が入院したとの報道を受けて、USD/JPYは160.50円を上回った。日銀の声明は容体の詳細には触れなかったが、植田総裁は6月15〜16日の金融政策決定会合を欠席するとし、氷見野良三副総裁が代理を務めるほか、植田総裁に代わり内田真一副総裁が決定後の記者会見を行うという。
市場では日銀が来週、0.25%の利上げを実施し政策金利を1%へ引き上げるとの見方が大勢で、これは30年超ぶりの高水準となる。一方、円安が続く中で追加利上げに関するフォワードガイダンスにも注目が集まる。日本当局は4月30日に通貨防衛のため11.7兆円(約731.4億ドル)を投じたと報じられたが、効果は短命に終わった。円安圧力の背景としては、原油高や日本国債利回りの相対的な低さに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測の高まりが挙げられる。さらに、後ほど発表予定の米5月CPIはインフレ率が3年ぶりの高水準となる見通しで、米国債利回りとドルの押し上げ要因となり得る。
植田総裁の入院を受けたボラティリティと市場の反応
USD/JPYが160.50円を上回る局面を注視している。この水準は日本当局に強い警戒感を促しやすい。植田総裁の突然の入院は、来週の重要な政策決定会合を前に不確実性を大きく高めた。これを受け、USD/JPYオプションの1週間物インプライド・ボラティリティは15%を超え、4月下旬の介入警戒局面以来の水準に上昇した。
本日後半に発表される米CPIが、ドル相場の主要な材料となる見込みだ。直近の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が29.5万人増と堅調だったことを受け、エコノミストは5月のコアCPIが前月比0.4%になると予想している。この予想値と同等、あるいは上回る結果となれば、FRBがタカ派姿勢を維持する根拠が強まる可能性が高い。
フォワードガイダンス、介入、ボラティリティ戦略
日銀の政策金利1%への利上げはすでに市場に織り込まれている一方、より焦点を当てているのは記者会見で示されるフォワードガイダンスだ。財務省は4月30日に単日で約12兆円を投じて通貨防衛を行った経緯があり、当局の介入姿勢が確認されている。こうした前例を踏まえると、仮に161.00円方向への上振れが進めば、突然かつ強力な介入で対応される可能性がある。
この見通しの下では、単純なコールのロングは介入による急反転リスクに対して無防備になりやすい。そこで、161.00円のコールを買い、162.50円のコールを売るブル・コール・スプレッドに注目している。リスクとリターンの上限を設定しつつ、上昇基調が継続した場合の利益機会を確保し、当局による円急騰局面での損失を抑えられる構造だ。
大きな値動きが近いと見つつも方向感に自信がない向きには、1週間物ストラングル(アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを同時に買う)も選択肢となる。日銀決定や米指標発表を巡ってボラティリティが跳ね上がる局面で収益機会を狙える。インプライド・ボラティリティが高水準にあるためコストは嵩むが、上下いずれかへ大きなサプライズが生じるリスクをカバーできる。
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