米ドルは、5月CPIの発表待ちで市場が身構える中、上値リスクを維持している。ディスインフレ基調は「停滞」と評されている。フェデラル・ファンド先物は、年末までに25bpの利上げを完全に織り込み、政策金利の誘導目標レンジは3.75~4.00%に到達する見通しだ。今後12カ月で約50bpの追加引き締めもほぼ織り込まれており、注目はFRB(米連邦準備制度理事会)の政策パスに集まっている。
5月CPIはロンドン時間13時30分(NY時間8時30分)に公表される。総合CPIは前月比+0.5%(4月は+0.6%)と予想され、前年比は3.8%から4.2%へ加速が見込まれる。コアCPIは前月比+0.3%(同+0.4%)、前年比は2.8%から2.9%と予想されている。市場は米・イラン間の攻撃再燃を概ね意に介していない。原油は直近安値圏でのもみ合いが続き、債券利回りの上昇も限定的。一方、ドルはまちまちで、主にNOKに対して下落する一方、AUD、ZAR、SEK、NZDに対しては堅調だ。
インフレと労働市場の強さがドル高余地を下支え
今後数週間にかけて、米ドルは上昇しやすいポジションにあるとみる。中核的な理由は、インフレがFRBの目標を頑として上回っている一方、米労働市場がなお予想外の強さを示しているためだ。この組み合わせは、市場がこれまで想定していたよりも長期にわたりFRBが引き締め的スタンスを維持する可能性を高める。
直近の2026年5月のデータもこの見方を裏付ける。消費者物価指数(CPI)は前年比+3.1%となり、昨年からのディスインフレ進展が停滞している。加えて、5月の雇用者数は22.0万人増と堅調で、失業率は3.8%と低水準を維持した。これを受け、金利先物市場では利下げ期待が後退し、年末までの織り込みは25bpの利下げ1回にとどまっている。
ドル高局面を想定したトレーディング戦略
デリバティブ取引では、この環境はドル高の恩恵を受けるポジション構築を示唆する。米ドル指数(DXY)のコールオプション、あるいは米金利政策の影響を受けやすい豪ドルやNZドルに対するUSDのコール(USDロング)に妙味があるとみる。オプション戦略は、次回FOMC関連イベントを前に市場ボラティリティが高まる局面も取り込みやすい点で有効だ。
足元のインフレ低下の「停滞」は、2%目標への最後の局面が最も困難だった2023年の局面を想起させる。現状、市場の関心はほぼこのテーマに集中しており、原油価格の変動といった他の要因の影響は小さい。ドル相場の主因は、FRBの次の一手をめぐる期待となる。
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