日銀の植田和男総裁が入院し、6月15〜16日に予定される2日間の金融政策決定会合を欠席すると、日銀が発表した。会合は氷見野良三副総裁が議長を務め、決定後の午後の記者会見は内田真一副総裁が行う。
日銀は総裁の容体について詳細を明らかにしていないが、入院は2週間程度に及ぶ可能性が高いとしている。市場では日銀が6月会合で25bpの利上げに踏み切り、政策金利を1%とする見方が強い。実現すれば30年以上ぶりの高水準となる。
市場の不確実性と政策リスク
植田総裁の予期せぬ入院は、重要な政策判断を控えた数日前のタイミングで市場の不確実性を大きく高める。市場は概ね25bp利上げを織り込んでいるものの、政策の主たる設計者が不在となることで、結果の確度は低下したとみられる。こうした状況は、円相場と国債市場の変動性が高まりやすい局面を生むと考える。
足元のデータは利上げを強く後押ししている。5月の全国コアCPIは前年比2.7%となり、2%目標を1年以上上回って推移している。加えて、春闘の最終集計では平均賃上げ率が4.1%と1993年以来の高水準となり、金融引き締めの根拠を補強する。政策の継続性と信認維持の観点から、氷見野副総裁としても行動を迫られる可能性がある。
市場ポジショニングと想定される反応
当方は、方向性にかかわらず円の急変動に備えたポジション構築を提案する。過去48時間で1週間物USD/JPYのインプライド・ボラティリティが8.9%から12.5%へ急上昇しており、オプション市場が通常より大きな値動きを織り込み始めていることを示唆する。ストラドルやストラングルの購入により、6月16日の発表前後で見込まれる乱高下からの収益機会を狙える。
利上げ先送りも明確な選択肢として浮上した。一時的な指導体制の下では、歴史的な政策変更を植田総裁の復帰まで待つ判断が選好され得る。一般に中央銀行で突発的な指導部の変化が生じた局面では、短期的に慎重姿勢が強まり、現状維持に傾きやすい。こうしたハト派サプライズとなれば、円は急落し、USD/JPYは160円近辺へ戻す展開も想定される。
また、10年国債先物(JGB)オプションにも注目している。利回りは決定内容に敏感に反応するためだ。利上げが先送りされれば、利回りは先月みられた0.8%近辺まで低下する可能性がある。一方、利上げが実施されれば、現行の1.05%水準を明確に上抜けし、数十年ぶりの高水準を試す展開となり得る。
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