中東情勢の緊迫化と米CPI見通しを背景にドル買い、ユーロ/ドルは約2カ月ぶり安値圏で下げ渋る

by VT Markets
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Jun 10, 2026

EUR/USDは3日続伸し、足元では1.1550近辺で推移している。ただし、1.1500近辺の約2カ月ぶり安値圏にとどまり、かつてのサポートである1.1575の下で上値を抑えられた。米国がイランの防空・レーダー施設を攻撃したとの報道を受け、リスク選好は後退。その後、テヘランがバーレーン駐留の米軍に報復攻撃を行ったが、ドルと原油の反応は限定的で、全体としては中程度の弱気と評された。市場の関心はこの後、5月の米消費者物価指数(CPI)に移る。CPIはインフレ率が3年ぶり高水準へ加速すると見込まれており、金曜日の強い米雇用統計(非農業部門雇用者数)を受けて、FRBの引き締め期待をさらに強める可能性がある。

テクニカル面では、同ペアは1.1505をわずかに上回る水準で推移し、4時間足のモメンタムは小幅にマイナス。RSIは50をやや下回り、MACDはプラス圏ながら浅い水準にとどまった。1.1575を上抜ければ、6月4〜5日の高値近辺である1.1645、その後は5月下旬高値の1.1685が意識される。下方向では、足元の安値は1.1530近辺で、サポートは月曜日の1.1505。これを割り込むと、3月30日の安値1.1443に視線が移る。

マクロ要因とドル高

ユーロは1.1500水準近辺の約2カ月ぶり安値圏で戻りの鈍さが目立ち、上昇局面でも1.1575のレジスタンスゾーンが重しとなっている。現在の最大の焦点は、今後数日以内に公表される5月米インフレ指標である。市場はドル高方向にポジションを傾けており、この重要指標を前にドル高に逆らうことには慎重にならざるを得ない。

こうした注目は妥当だ。先週金曜日の雇用統計は、非農業部門雇用者数が25万人増と、市場予想を大きく上回った。これに先立ち、4月のCPIは前年比3.8%と強い内容で、FRBを一段と慎重な姿勢に追い込んだ。結果として、先物市場では2026年中の利下げ確率がほぼゼロとの見方が示されており、ドルの下支え要因となっている。

取引戦略とテクニカルトリガー

当社は、EUR/USDの1.1500サポート割れを想定した下落に備える、あるいは下落局面を取りに行く手段として、プットの購入を検討すべきと考える。CPI発表を控え、短期オプションのインプライド・ボラティリティは6週間ぶり高水準の8.5%に上昇している。プレミアム負担を抑える観点から、ベア・プット・スプレッドなどの戦略が有効となり得る。下方向の値動きからの収益機会を狙いつつ、リスクを明確に限定できるためだ。

ドル高の追い風として、中東情勢の緊張再燃を受けたリスクオフ基調があり、安全資産需要を押し上げている。この環境は、インフレの粘着性によりFRBが市場の想定以上に長期にわたり高金利を維持せざるを得なかった2022〜2023年を想起させる。足元でも同様のダイナミクスが立ち上がりつつある可能性がある。

テクニカルには、1.1505のサポートを明確に下抜ける局面は重要な弱気シグナルとなる。こうした動きはストップロスを連鎖的に巻き込み、1.1443の目標水準に向けた急落の余地を開く可能性がある。当社は1.1505を、新規ショートの起点、あるいは既存ショートの積み増し判断における重要トリガーとして注視している。

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