UOBのクエック・サー・レアン氏とリー・スー・アン氏は、USD/JPYは短期的に一時的な急伸と反落を経てレンジ相場になるとみており、日中の想定レンジは159.90~160.40としている。これに先立つ見通しでは160.50方向への上昇を示唆しつつ、160.75を主要レジスタンス、160.05をサポートと位置付け、159.95を下抜ければ上昇圧力が和らぐ可能性があるとしていた。しかし実際には、USD/JPYは160.39まで上昇後に159.87まで下落し、その後反発して160.17で引け(前日比0.07%安)。直近の値動きは、新たな明確な方向性シグナルを示していない。
1~3週間の時間軸では、UOBは6月8日(スポット160.25)に設定した「やや強気」のバイアスを維持しているものの、上昇モメンタムは「手探り」と表現されている。基本シナリオは160.75へ向けた緩やかな上昇で、159.60を割り込めばモメンタムの後退を示唆する。より長期のテクニカル観点では、上昇ウェッジ上限にあたる161.15近辺を試す余地があるとしている。
緩やかなドル高を支える要因
ドルは対円で緩やかな上昇基調を維持し、今後数週間で160.75の水準を目指すとみる。主因は大きな金利差で、日銀の政策金利が0.1%近辺にとどまる一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のFF金利は4.25%と高水準で据え置かれている。市場はこのファンダメンタルズのギャップが近く縮小する理由が乏しいとみており、ドル需要を下支えしている。
オプション戦略とリスク管理
緩慢で手探りの上昇という見立てを踏まえると、ブル・コール・スプレッドが適切な戦略だ。例えば、行使価格160.00近辺のコールを買い、同時に目標である160.75の行使価格のコールを売る。これにより最大損失は支払うネット・プレミアムに限定され、大きなブレイクアウトを必要とせず、想定される緩やかな上昇からの収益機会を狙える。
別の表現方法としては、強いサポートとされる159.60を材料にブル・プット・スプレッドを売る手もある。具体的には、行使価格159.50のプットを売り、下の行使価格のプットを買ってヘッジし、ネット・プレミアムを受け取る。この戦略は上昇と時間価値の減少(セータ)双方の恩恵を受け、満期時にUSD/JPYが売り建てた行使価格を上回っていれば利益となる。
もっとも、2024年春にUSD/JPYが初めて160円台を超えた局面で見られたように、日本当局による口先介入や実弾介入のリスクには注意が必要だ。こうしたイベントは突発的で急激な下落スパイクを招き得るため、リスクが限定されたオプション構造の方が、円の裸ショートを保有するより安全である。当時の介入の記憶が、足元の上昇モメンタムを一段と緩慢にしている可能性が高い。
直近では円のインプライド・ボラティリティが低下基調にあり、デビット型スプレッドとしてのオプション購入コストは相対的に低い。この環境は、初期コストを抑えたロング・ポジション構築に追い風となる。一方で、スプレッド売りで受け取れるプレミアムは小さくなるが、低ボラティリティという背景そのものが、急騰ではなく「じり高」というシナリオを後押ししている。
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