USD/JPYは、日本の対外収支が改善する一方で、再び160円台を回復し、数十年ぶりの高値圏に接近した。日本の季節調整済み経常収支黒字は4月に4.2兆円へ拡大し、1996年の統計開始以来の最高水準となった。黒字額はGDP比5.6%と推計される。
改善の背景には、対外投資収益の増勢に加え、財・サービス貿易の持ち直しがある。ただし足元の円相場の変動は、こうしたファンダメンタルズよりも、イラン情勢と原油価格の影響を強く受けているとの見方が支配的だ。
ファンダメンタルズの底堅さが、地政学リスクとキャリートレードの前に見過ごされている
当社は、6月初旬にUSD/JPYが164円台を上回った局面でも、円はファンダメンタルズ面で過小評価されているとみる。財務省は、2026年4月の経常収支が3.8兆円の黒字だったと公表しており、黒字は15カ月連続となる。この基調的な強さは、現時点では市場で織り込まれていない。
円安の主因は、日米金利差の大きさと地政学リスクだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利が4.75%で維持される一方、日銀は0.25%にとどまり、キャリートレードが円の重しになっている。さらに、ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりを受けてブレント原油が1バレル=95ドル近辺へ戻り、エネルギー輸入国である日本の通貨に追加的な下押し圧力がかかっている。
オプション戦略で「円の修正局面」に備える
この乖離は、デリバティブを用いてポジションを構築する余地がある。市場が短期要因に注目していることは、原油価格の沈静化や政策スタンスの変化といったシグナルが出れば、円が急伸する可能性を示唆する。このため、今後3〜6カ月の期間を想定し、アウト・オブ・ザ・マネーの円コール(またはUSD/JPYプット)の購入を検討したい。
もっとも、USD/JPYオプションのインプライド・ボラティリティは12カ月ぶり高水準の11.5%まで上昇しており、単純な買いはコストが高い。そこで、コスト抑制とリスク限定のため、バーティカル・スプレッドの活用が有効となる。例えばUSD/JPYの160/155プットスプレッドを組成すれば、ファンダメンタルズに沿った水準への回帰局面で収益機会を狙いつつ、支払プレミアムを上限化できる。
2023年末の急激な為替反転や、2022年の為替介入が示すように、センチメントは短期間で反転し得る。現状は過熱感があり、目先はさらに円安が進む余地があるとしても、反発(スナップバック)局面に対するリスク・リワードは徐々に妙味を増している。高いオプション保有コストを管理しつつ、転換点に備えたポジショニングが求められる。
今すぐ取引を始めましょう — VT Marketsのリアル口座を開設するにはこちらをクリックしてください。