英国銀行(BOE)の政策金利が4.5%と、G7でも最高水準の一角を維持しているにもかかわらず、ポンドは冴えない。ポンドは200日移動平均線を下回って推移しており、高金利でも修復できないテクニカル面の弱さを示している。背景には、成長が鈍い一方でインフレが高止まりする「スタグフレーション」懸念が、英国経済にとってより目立ち始めていることがある。
ポンドの最大の問題は自国の中銀というより、米国経済の相対的な強さだ。先週の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が21.0万人増と市場予想を上回り、失業率も3.8%へ低下した。これを受け、市場ではCME FedWatchツールでも示されるように、年内の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ確率が低下し、ドル高を後押しした。
これによりBOEは難しい立場に置かれている。最新の英国インフレ率は前年比2.8%と、なお2%目標を頑固に上回っており、利下げに踏み切りにくい。一方で、最近の企業景況感調査では、高い借入コストの重みで景気活動が鈍化していることが示されている。
先行きを見ると、今後数週間の主要指標に注目が集まる。次回発表の英国国内総生産(GDP)は前期比0.1%成長が予想されており、景気がかろうじて拡大しているに過ぎないことを確認する内容となり得る。これに対し、次の米インフレ指標はFRBのスタンスとドルの方向性を左右する上で重要となる。
ポンドは二つの力に挟まれている。米国景気の強さはドルを支える一方、高金利を負担しきれない弱い英国景気がポンドの重しとなる。歴史的に見ても、インフレのために中銀が高金利を維持せざるを得ない一方で景気が減速する局面では、通貨は弱含む傾向がある。
BOEの限られた選択肢と市場見通し
トレード観点では、ポンド/ドルが200日線に当たる重要水準1.2650を下回っている限り、スタンスは中立寄り弱気を維持する。1.2650近辺への戻りは、例えばポンドのプットオプション(GBPプット)の購入などを通じて、さらなる下落に備える好機とみる。下値メドとしては、まず1.2500、次いで1.2440近辺が重要なサポートとなる。
下落を加速させ得る最大の材料は、弱い英GDPと強めの米インフレ指標の組み合わせだ。これは「ポンドの金利優位だけでは防波堤にならない」という見方を一段と補強するだろう。現状、市場は「G7最高利回りを維持しても、ポンドが得られる支援は限定的」との評価でおおむね一致しているようだ。
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