中国人民銀行(中央銀行)は米ドル建て預金金利の上限を緩和したが、人民元は年初来で対ドル約3%上昇している。この政策修正は効果が限定的と位置づけられている。というのも、1年物の定期預金金利差は約2.2%、1年国債利回り格差は2.7%と、いずれも最近の人民元の上昇ペースを下回っているためだ。3カ月変化を年率換算したベースでも、人民元の上昇率が金利差を下回ったのは昨年5月までさかのぼる。
同時に、中国の銀行における外貨預金は増加が続いている。企業部門の外貨預金は昨年2月以降、前年比で2桁増の伸びを維持し、直近では6,024億ドルと、統計が開始された2015年1月以来の最高水準に達した。この積み上がりにもかかわらず、元安圧力の兆候は乏しいとされ、足元の元高基調は今後数カ月も続くとの見方が示されている。
元高が続くなら、金利が低くても保有が合理的
今後数カ月、人民元は対米ドルで上昇基調を継続するとみており、金利が低下しても人民元を保有する合理性が高い。人民銀行が米ドル預金金利上限を調整した最近の動きも、この基調を大きく変える可能性は低い。人民元の上昇が、ドルを保有して得られる利息を上回っているためだ。
こうした環境を踏まえると、今後数週間はUSD/CNYの下落(ドル安・元高)に備えたポジションを検討したい。CNYに対するUSDのプットオプションを買う、あるいはUSD/CNYのフォワードを売るといったデリバティブ戦略が有効となり得る。これらは、ドルが人民元に対して下落するとの想定から収益機会を狙うポジションである。
貿易黒字と政策スタンスの違いが、追加の元高を後押し
直近データもこの見方を補強する。中国の2026年5月の貿易黒字は810億ドルと堅調で、先週発表された。輸出需要の強さを示し、一般に通貨の支援材料となる。本日時点でUSD/CNYは6.34近辺で推移しており、年初からの緩やかな下落基調を維持している。
米中の金融政策スタンスの乖離も、本見通しを下支えする。米連邦準備制度理事会(FRB)の直近の発信は、インフレ鈍化を背景に利上げ停止を示唆しており、ドルの相対的な魅力に上値制約がかかりやすい。一方、中国当局は、安定維持と的を絞った景気支援の継続を示唆している。
この構図は、強い貿易実績を背景に人民元が大きく上昇した2017~2018年局面を想起させる。そのため、この勢いを取り込むべく、2026年7月下旬から8月満期のオプションに注目している。オプション市場のインプライド・ボラティリティは依然として中程度にとどまっており、市場が一段の下落を十分に織り込む前に取引へ入る好機となり得る。
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