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中東情勢の緊迫化でOPECプラスの増産観測を相殺、WTIは1バレル=90ドル近辺で推移─ボラティリティ高まる

by VT Markets
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Jun 9, 2026

WTI(米WTI原油先物)は月曜日、1.57%高の1バレル=89.95ドル近辺で取引され、場中には1.5%超上昇した。イスラエルとイランの対立再燃に加え、フーシ派の動きが原油相場を押し上げた。イラン支援のフーシ派はイスラエルへの攻撃を主張し、紅海におけるイスラエル船舶の航行禁止を発表。さらに、イスラエルとイランの追加攻撃が続き、リスクプレミアムは高止まりした。イラン外務省は停戦合意が繰り返し破られたと述べ、イラン国会議長は米国および同盟国の基地が「正当な標的」になり得ると警告。ホルムズ海峡周辺での混乱リスクに市場の関心が一段と向かった。

OPECプラスにも注目が集まり、7月の増産幅として日量18万8000バレルを決定したが、安全保障環境を踏まえれば慎重な動きとして受け止められ、市場の反応は限定的だった。その後、ファルス通信が「イラン軍がイスラエルに対する作戦を終了した」と報じる一方、イスラエルがレバノンを攻撃すればより強硬に対応すると警告したこと、また米国のドナルド・トランプ大統領が即時停戦を促したことを受け、価格は上げ幅を大きく縮小。トレーダーが短期的な供給リスクを見直すなか、WTIは日中高値93.50ドル近辺から反落した。もっとも、市場では世界的な在庫減少を示唆する見方も出ている。

地政学リスク・プレミアムと市場ボラティリティ

中東情勢の緊迫を踏まえると、WTIが1バレル=90ドル近辺を維持する主因は地政学リスク・プレミアムだと見る。7月のOPECプラスの増産(日量18万8000バレル)という小幅な供給増は、市場では概ね材料視されていない。ファンダメンタルズよりも紛争要因に焦点が当たることで、取引環境はボラティリティが高まりやすい。

この局面では、見出し一つで上下に急変し得るため、ボラティリティを買う戦略が有効と考える。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)は高水準で、足元は45近辺で推移しており、過去平均を大きく上回る。市場が価格変動の継続を織り込んでいるサインであり、ロング・ストラドルやストラングルといった戦略が機能しやすい。

主力ポジションとしては、ホルムズ海峡経由の供給途絶リスクを背景に、さらなる急騰を想定する。今後数週間を対象に、権利行使価格95ドルおよび100ドルのアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプションを買い建てる。上昇局面での収益機会を確保しつつ、最大損失をプレミアム支払いに限定できる。

一方で、未確認報道をきっかけに93.50ドルから急落した最近の例のように、急速な緊張緩和にも備える必要がある。プロテクティブ・プットの購入やベア・プット・スプレッドの構築により、想定外の沈静化で価格が急落した場合のポートフォリオ耐性を高められる。ニュース主導の市場では不可欠な保険となる。

市場ファンダメンタルズと過去の文脈

基礎的な需給要因を見ても、紛争要因がなくとも強気見通しを支える材料がある。最新のEIA(米エネルギー情報局)統計では、原油在庫が310万バレル減少し、アナリスト予想を上回った。現物市場の引き締まりを示唆し、構造的な供給不足が足元の価格水準の下支えとなっている。

過去を振り返れば、この地域の地政学イベントは長期的な価格上昇につながった例があり、湾岸戦争期の1990年後半には原油価格が倍増した。歴史は完全な指針ではないものの、供給脅威が意識される局面で市場が過剰反応し得ることを示している。高いリスク環境を前提に、大きな上振れの可能性に備えたポジショニングを維持したい。

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