ダウ工業株30種平均は欧州午後にかけてほぼ横ばい。先物は50,750近辺で推移した。夜間に50,500から51,000方向へ上昇した後、反転した格好。現物取引では、S&P500が約0.7%高、ナスダックが約1.3%高となった一方、ダウは0.1%高にとどまり、半導体主導の反発が再びテクノロジー比重の高い指数を押し上げた。金曜日の下落は半導体に集中し、ナスダックは4.2%安と2025年4月以来の大幅安。主要半導体ETFは約10%下落し、マイクロンは13%安となった。月曜日は反転し、マイクロンが約10%高、同ETFも約7%高となったが、この勢いはダウへの反映が限定的だ。
地政学も引き続き焦点となった。イラン・イスラエルの停戦は形式上維持されているものの、週末には攻撃の再開や発言が相次いだ。WTI原油は1%超上昇し、1バレル=91ドル近辺。市場の視線は米インフレ指標へ移る。5月CPIは水曜12:30GMT(日本時間同日21:30)に発表予定。総合は前月比0.5%、前年比4.2%(4月は3.8%)、コアは前月比0.3%、前年比2.9%(4月は2.8%)が予想されている。木曜のPPIは前月比0.7%が見込まれ、コアは前年比でなお5%超。金曜にはミシガン大学の1年先インフレ期待(前回は4.8%近辺)も控える。テクニカルでは、上値抵抗として51,000近辺、下値支持として50,500、下方の節目として50,000が意識される。ストキャスRSIは18近辺、50期間・200期間EMAの位置関係も言及された。
市場の主導銘柄と乖離
市場は分断されており、テック比率の高いナスダックが強さを示す一方、ダウは追随に苦戦している。この乖離は警戒サインだ。相場の主導が狭く、少数の半導体銘柄に依存しているためで、見出しの指数水準が示すほど市場の地盤は安定していない印象がある。
今週の最大の注目は水曜のCPI。総合インフレ率が4.2%へ加速すると見込まれるなか、この水準以上の結果となれば、FRBのタカ派姿勢を補強し、利上げ観測を一段と押し上げる可能性が高い。クリーブランド連銀のインフレ・ナウキャスティングは最終値がさらに熱い可能性を示し、4.4%を示唆しており、下振れサプライズは起きにくいとの見方になる。
このインフレリスクは地政学的緊張によって増幅されている。脆弱なイラン・イスラエル停戦のもとでも原油は1バレル=91ドル近辺で高止まりしている。直近の米エネルギー情報局(EIA)統計では、原油在庫が予想外に310万バレル減少し、供給逼迫を一段と強めた。高水準のエネルギー価格が、FRBが抑え込みを図るインフレに直接波及している。
ボラティリティ、ポジショニング、今後のリスク
CPIを控えるなか、最も予測しやすい帰結はボラティリティの上昇だ。CBOEボラティリティ指数(VIX)は2週間前の13からすでに19近辺まで上昇しており、投資家がポートフォリオ防衛のコストを支払っていることを示す。これは、大きな値動きから利益を得る戦略を検討する局面であることを示唆する。
今後数週間は慎重な弱気(特に出遅れのダウ)で臨む。DIA(ダウ連動ETF)で、50,500のサポートを下回る権利行使価格を狙ったプット、もしくはプット・スプレッドの購入は、妥当なヘッジ策とみる。水曜のCPIが強い結果となれば、この重要なテクニカル水準を割り込むきっかけになり得る。
警戒を強める要因として、今週金曜に予定される大規模なSpaceXのIPOがある。過去の例では、注目度の高いIPOは過度な楽観のピークを示しやすく、株式市場全体から流動性を吸い上げることがある。2021年4月のコインベースの直接上場がリスク資産の大天井と重なった事例を踏まえ、今回も同様の展開となる可能性に備える。
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