米国2年債利回りの上昇と、なお高水準にあるブレント原油価格が、インドネシア・ルピア(IDR)、フィリピン・ペソ(PHP)、インド・ルピー(INR)に下押し圧力をかけている。持続的な反発には地政学リスクの低下が不可欠であり、材料となり得るのはホルムズ海峡の航行を保証する米国・イラン合意だろう。これが実現すればエネルギー市場のリスクが和らぎ、より広範なドル高圧力の緩和につながる。
インドネシアでは、財政および経常収支面の負担が通貨の脆弱性を高めており、USD/IDRは引き続き上方向にバイアスがかかりやすい。ただし、ポジションの偏りが大きく、短期的な巻き戻し余地もある。ルピアは実質実効為替レート(REER)ベースで割安に見え、高利回りのSRBIが現在のリスク・プレミアムに対する一定の補償となる。フィリピンでは、インフレ率が上昇する一方でBSPの政策金利は4.50%にとどまり、リスク・プレミアム上昇に対する緩衝材が乏しい。インドでは、イラン情勢が長期化し原油が100ドル/バレル超で推移すればUSD/INRは100.00方向を試す可能性があるものの、RBIの介入や利上げ観測が局面ごとに下支えとなり得る。
—アジア通貨の下押し要因(現状)
今後数週間、IDR、PHP、INRといったアジア通貨には引き続き下押し圧力がかかるとみる。米国2年国債利回りが5.1%近辺で高止まりし、ブレント原油が1バレル=105ドルで推移していることが、原油輸入国にとって厳しい環境を形成している。DXY指数が107.50近辺で推移するなか、ドル高基調が主たるトレンドであり、当社はこの方向性を基本シナリオとしてポジション構築を想定している。
フィリピン・ペソはとりわけ脆弱に見える。2026年4月の最新インフレ率は5.2%へ上昇した一方、中央銀行の政策金利は4.50%にとどまる。実質金利がマイナスであることから、投資家にとってペソ保有の魅力が乏しい。現行の59.20水準を起点に、USD/PHPの上昇余地を狙う手段として、ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)の活用を提案する。
インド・ルピーについては、USD/INRの上昇トレンドは維持されており、足元は85.50近辺で推移している。インドは原油輸入依存度が85%超であり、原油が100ドル/バレル超で定着すれば、同通貨ペアは87.00方向へ上振れする可能性がある。こうした値動きを狙う戦略として、3カ月物のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)USD/INRコール・オプションの買いを検討したい。
インドネシア・ルピアについては、テクニカル面でUSD/IDRが16,550近辺で買われ過ぎの兆候があるため、相対的に慎重姿勢とする。弱いセンチメントは続く一方、REERベースでは通貨が割安に見え、インドネシア中銀の高利回りSRBIが一定の支えとなる。ポジティブ材料が出た場合の急反転に備えつつ、上下いずれにも大きく動く可能性に対応する手段として、オプション・ストラドルによる取引(両方向の変動リスクをヘッジ)を推奨する。
—地政学リスクと反転シナリオ
最大の変数は中東の地政学的緊張、特にホルムズ海峡を巡る情勢である。米国とイランの緊張緩和が確認されれば、これら通貨は迅速に反発する可能性が高い。そうしたニュースが出るまでは、対米ドルでIDR、PHP、INRに弱気スタンスを維持するのが妥当とみる。
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