ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)は、米ドル指数(DXY)が足元、約1年にわたり形成してきた96.00~100.00のレンジ上限を上抜ける可能性があると指摘する。米国の景気が他国・地域を上回って推移しており、イラン戦争をめぐるセンチメント改善に伴う米ドルの逆風を相殺し得るためだ。アトランタ連銀のGDPNowモデルは、実質GDP成長率(年率換算)について、1-3月期の2.0%に対し4-6月期は4.3%を示唆。さらに5月のPMIは、米国の成長優位が主要国・地域に対して拡大していることを示している。
焦点は木曜日発表の4月PCE(個人消費支出)に移る。総合PCEは前月比0.5%、前年比3.8%が予想されており、3月の前月比0.7%、前年比3.5%からの変化が見込まれる。コアPCEは前月比0.3%、前年比3.3%と予想され、3月から横ばいの見通し。いずれもFOMCの2026年インフレ見通し(2.7%)を上回る水準にあり、FRBのタカ派的スタンスが意識されやすい。代替指標としては、ダラス連銀のトリム平均PCEやクリーブランド連銀の16%トリム平均CPIが挙げられ、いずれもコアPCEを下回っている。もっとも、クリストファー・ウォラー理事の最近の発言では、利下げではなく金利据え置きを示唆しつつ、インフレが鈍化しない場合は追加利上げの可能性も残している。
—米国の経済的優位が支えるドル高
当社は、米ドル指数(DXY)が今後数週間で100.00近辺のレンジ上限を上抜けし、「オーバーシュート」する可能性が高いとの見方を維持する。米国経済は他国・地域と比べて顕著な底堅さを示している。この強さは、ユーロや円などに対するドル上昇局面で恩恵を受けるポジションを、デリバティブ取引で検討する余地があることを示唆する。
アトランタ連銀のGDPNowモデルは今四半期の年率換算成長率を4.3%と予測しており、前四半期からの大幅な加速を示す。直近データもこれを裏付ける。S&Pグローバルの米国総合PMI(5月)は54.4と2年ぶりの高水準となった一方、ユーロ圏PMI速報値は52.3にとどまった。こうした成長格差の拡大が、ドル高の主要ドライバーになっている。
インフレも引き続き重要要因であり、FRBが近く利下げに踏み切る可能性は低い。4月のCPIはコアインフレ率が3.6%と高止まりしたことを示しており、今後発表されるPCEも同様の傾向を確認する内容になると見込まれる。インフレがFRB目標を大きく上回る限り、金融引き締め的な政策姿勢がドルを下支えする。
—米ドルの取引戦略と見通し
トレーダーにとっては、UUPなどドルを中心に構成されるETFに対するコールオプションの買いを検討し、権利行使価格は現行の100.00水準をわずかに上回る水準を狙うといった発想が考えられる。ウォラー理事が追加利上げの可能性を排除しなかったことは、強気見通しを補強する材料だ。この戦略は、ドルの上放れによる上昇余地を、リスク限定で取りに行く手段となる。
別のアプローチとしては、米ドルに対するユーロのショートがある。先物を通じた取引、あるいはEUR/USDに対するプットオプションの購入などが選択肢となる。タカ派姿勢を強めるFRBと、より慎重な欧州中央銀行(ECB)との金利差は拡大しやすい。過去の経験則では、DXYが1年規模の持ち合いを離れる局面では、その後の値動きが速くかつ大きくなりやすい。
議長のケビン・ウォーシュ氏など一部のFRB関係者が、より弱いインフレ指標に目を向け、内部で議論が生じる可能性は認識している。ただ、FRBの重心は明確によりタカ派側へ移っている。当社は、短期的には米ドルの「最も抵抗の少ない」方向は上方向だとみる。
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