英国の商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ポンドの「非商業部門」(投機筋=ヘッジファンドなど)のネットポジション(買い越し・売り越しの差)は、前回の▲4.31万枚から▲6.43万枚へと一段とマイナス幅が拡大した。これは、前回の報告期間と比べて純売り(ネットショート)が増えたことを示す。
今回の▲6.43万枚は、前回の▲4.31万枚と比べて、CFTCが区分する非商業部門における英ポンドの「売り越し」がより深まった水準となる。公表資料には、これ以上の詳細な内訳は示されていない。
投機筋のセンチメントが急速に弱気化
投機筋の英ポンドに対するネットショート(売り建てが買い建てを上回る状態)は▲6.43万枚まで大きく拡大した。これは、大口投資家やヘッジファンドが「ポンド安」を見込む取引を増やしていることを意味する。弱気の見方が広がっていることから、今後数週間は下落圧力が強まりやすい。
背景には、最近の経済指標が市場予想を下回ったことがある。2026年4月の最新統計では、英国のインフレ率(物価上昇率)が3.5%と高止まりした一方、1-3月期(Q1)のGDP成長率(国内総生産の伸び)は0.1%にとどまり、「スタグフレーション」(景気の停滞と物価上昇が同時に進む状態)への警戒が強まっている。こうした環境では、イングランド銀行(英中央銀行)が景気への悪影響を抑えながら通貨を支えるのは難しい。
さらなるポンド安に備える
このため、ポンド下落で利益を狙う戦略として、GBPのプットオプション(あらかじめ決めた価格で売る権利)を買う方法が考えられる。これにより、下落局面を狙いつつ、損失を支払ったプレミアム(オプション料)に限定できる。より見通しを絞る場合は、GBP/USDでベア・プット・スプレッド(プットを買い、別の行使価格のプットを売る組み合わせ)を組むことで、必要資金を抑えて弱気見通しを表現しやすい。
イングランド銀行は2026年5月11日の前回会合後の発言で、利上げサイクルの一時停止を示唆し、ポンドの下支え材料が後退した。2022年秋の財政不安局面でも同様に、ポンドが急落する動きがみられた。こうした過去の経緯も踏まえると、ポンドは戻りよりも下押しの力が働きやすい。