米ドル/円は159.00円近辺で推移している。160.00円は、当局による**為替介入(政府・日銀が市場で円買い/ドル売りなどを行い、急な円安を止めようとする措置)**のリスクがあるため、重要な水準として注視されている。日本の5月PMI(**購買担当者景気指数:企業への調査で景気の強さを示す指標。一般に50を上回ると拡大、下回ると縮小**)は、民間部門の成長が弱まりつつあることを示した。
総合PMIは1.1ポイント低下して51.1となり、5カ月ぶりの低水準。サービス業の伸びは止まり、製造業の伸びも鈍化した。
日銀、よりタカ派姿勢を示唆
最近の日銀審議委員の発言は、**タカ派(インフレ抑制を優先し、利上げなど金融引き締めに前向き)**寄りの姿勢を示した。小枝淳子委員は、高いインフレに対応して政策金利(**中央銀行が決める短期金利の基準**)を適切なペースで引き上げることに言及。増本一之委員も、指標が明確な悪化を示さない場合、できるだけ早い段階での利上げを支持した。
小枝氏と増本氏は、4月会合で「金利据え置き(変更しないこと)」の6対3の多数決に加わった。4月には、中川順子氏、高田創氏、田村直樹氏の3人が、より厳しい金融政策(引き締め)を求めて反対した。
**スワップ市場(将来の金利をもとに取引される金利デリバティブ市場)**の価格動向では、6月16日会合での**25bp(ベーシスポイント:0.01%=1bp。25bpは0.25%)**利上げの織り込みが高まった。
米ドル/円が159.00円近辺を保つなか、向こう数週間は上値余地が小さいとみられる。最大の理由は、為替介入の強い警戒感であり、160.00円を明確に上抜けしにくいと考えられるためだ。このため、160円近辺が実質的な上限になりやすい。
2024年春には、当局が9兆円超を投じて円の下落を食い止めた。財務省は、相場が160円を超えた局面で大きく動き、160円が重要な防衛ラインであることを示した。この前例は、160円周辺で相場の急変リスクを売る、または下方向の見方に沿う取引を検討する根拠となる。
重要水準周辺のオプション戦略
日銀も、円高方向の材料になりうる。複数の委員が利上げに前向きで、政策変更への警戒は続く。日本のコアインフレ(**一時的に変動しやすい品目を除いた物価上昇率の目安**)が足元で約2.4%と、日銀目標を上回る状況で、利上げの説明材料はある。スワップ市場では、6月16日会合での利上げ観測が強まっている。
この環境では、**アウト・オブ・ザ・マネー(現状の相場よりだいぶ上の行使価格で、現時点では利益が出にくい水準)のコール(買う権利)**を売る、または**ベアコールスプレッド(上値が限定的とみて、コールを売り、さらに上のコールを買って損失を抑える形)**で、160.00円以上に売りの行使価格(**ストライク:オプションの決済基準となる価格**)を置く戦略が選択肢となる。**プレミアム(オプション代金)**を受け取りつつ、介入警戒と日銀の引き締め姿勢が上値を抑えると見込む取引だ。上方向の**インプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動予想。オプション価格に反映される)**は警戒感で高くなりやすく、売りやすい局面になりうる。
より明確に円高方向を狙う場合、6月会合後まで期限のある**プット(売る権利)**の購入も考えられる。日銀が利上げに動けば円高が進む可能性があり、その場合に利益を狙える。損失は支払ったプレミアムに限定される。