日本の片山さつき財務相は、原油価格の変動が外国為替市場に影響していると述べた。金融市場では、短期的な利益を狙う投機的な動きも確認しているという。
片山氏は、フランスで開かれたG7財務相会議の初日の終了後に発言した。日本は市場の動きを注視し、為替相場の急激な変動(ボラティリティ)に対して適切に対応するとした。
世界的な不均衡と金融の安定
片山氏は、世界的な不均衡(国や地域ごとの貿易・資金の偏り)を是正するために行動が必要だと、G7の各国・地域に伝えたと述べた。また、「ミトス(Mythos)」に関連するリスクにも対応が必要であり、G7は来月の首脳会議に向けて具体策を協議する見通しだとした。
さらに、重要鉱物(先端産業に欠かせない鉱物資源)を巡る中国の輸出管理に対し、G7は結束すべきだと指摘。声明(コミュニケ)には、重要鉱物の価格形成(プライシング)に関する文言が盛り込まれる可能性が高いと述べた。
一方で、国債の売り(債券価格の下落)への協調対応は検討していないとし、各国が自国市場の状況に責任を持つべきだとの認識を示した。
また、主計画の追加予算をどう賄い、同時にリスクを抑えるかについて、高市首相から検討するよう求められたと明かした。ただし、金額や時期は示さなかった。
原油の変動と円相場への圧力
原油市場と為替市場の間で、緊張の高まりが明確に見られる。WTI原油先物(米国産原油の先物取引)は今四半期に15ドルという大きな値幅で変動し、直近では98ドルまで上昇した。この変動が、ドル/円などの通貨ペア(2通貨の交換比率)に波及している。ドル/円の30日実現変動率(過去の値動きから計算する変動の大きさ)は14%に上昇し、2024年の為替介入への警戒が強まった局面以来の水準となった。
為替変動への対応を示唆する警告は重く見る必要がある。ただ同時に、政府には新たな予算を資金面で支える必要があるため、利害が衝突しやすい。円を支えるための介入(当局が市場で通貨を売買して相場に影響を与えること)はあり得るものの、円高が進んでも持続しにくい可能性がある。オプション取引(将来の売買権利を売買する取引)では、ドル/円でストラドル(同じ行使価格で買いの権利と売りの権利を同時に買い、大きな変動で利益を狙う戦略)の購入が選択肢となる。
G7が債券市場の下支えで足並みをそろえていない以上、金融政策の方向性の違い(金融政策の分岐)は続く公算が大きい。米10年国債利回りと日本国債(JGB)利回りの差(スプレッド)はすでに400ベーシスポイント(bp=0.01%、400bpは4%)を超え、約20年で最大となった。この環境では、金利差を収益源とする運用(キャリートレード)として、円を売ってドルを買う取引が理屈の上では有利になりやすい。
市場全体の不透明感は、地政学リスクやシステム面のリスクによって増している。VIX指数(S&P500の変動予想を示す「恐怖指数」)は、「ミトス」リスクや中国の鉱物管理を巡る懸念を背景に22を上回る水準で高止まりしている。急な市場下落に備える保険として、VIXのコールオプション(上昇時に利益が出やすい権利)や主要株価指数のプットオプション(下落時に利益が出やすい権利)の利用が検討される。
中国の輸出管理への注目は、工業用コモディティ(産業に使う商品市況)と関連株に直接影響している。ガリウムやゲルマニウム(半導体などに使われる重要金属)の価格は、北京の前回発表(2026年2月)以降、すでに35%上昇した。これにより、これらの材料への依存度が高い半導体メーカーやEV(電気自動車)メーカーには、業績下振れリスクが意識されやすい。
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