ジェフリー・シュミッド米カンザスシティ連銀総裁は木曜日、インフレ(物価の上昇)が経済にとって最も差し迫ったリスクだと述べた。インフレ率は依然として高すぎるという。
銀行業界の会議でシュミッド総裁は、米国経済は過去に比べ、世界的な原油供給の混乱(地政学リスクなどで原油が不足・高騰すること)の影響を受けにくくなっていると指摘した。一方で、原油高は家計の購買力を弱め、企業コストを押し上げると説明した。
US Economy Shows Resilience
米国経済は底堅さ(ショックがあっても大きく崩れにくい状態)を示しており、経済の基礎条件(成長、雇用、所得などの土台)は堅調だと述べた。雇用市場(人手の需給)は効率的に機能しているとも語った。
個人消費(家計の支出)が活動の最大のけん引役であり、資産増(株高などによる資産の増加)を背景に支出を増やす世帯が多いという。
企業投資は堅調で、特にテクノロジー分野やAI(人工知能)関連の設備拡充が目立つと述べた。銀行部門の状況も概ね健全だとした。
FRB(米連邦準備制度理事会)のメッセージは「インフレが最大の敵で、戦いは終わっていない」という点にある。最新の2026年4月のCPI(消費者物価指数:消費者が購入するモノやサービスの価格をまとめた指標)は前年同月比3.4%と高止まりし、当面の利下げ(政策金利の引き下げ)を期待しにくい状況を示した。ここ数年の市場を特徴づけてきた高金利環境が続く可能性がある。
Higher For Longer Rates
このタカ派(金融引き締めに前向きな姿勢)の見方は、「金利が高い状態が長く続く」ことに賭けるデリバティブ取引(先物・オプションなどの金融派生商品)を支えやすい。CME FedWatch(先物市場から利上げ・利下げ確率を推計する指標)では見通しが大きく変化し、2026年9月までの利下げ確率は15%未満となっている。今後数週間の戦略としては、SOFR(担保付き翌日物資金調達金利:米ドルの短期金利指標)オプション(将来の金利水準に条件付きで賭けられる取引)を使い、利回り曲線(満期の違いで並べた金利の形)が横ばい、またはわずかに上向く展開を想定したポジションを取るのが理にかなう。
原油高もインフレ圧力(物価を押し上げる力)を強める要因として意識される。WTI(米国の代表的な原油価格指標)がOPEC+(主要産油国の協調グループ)の供給引き締めで1バレル=90ドル超で高止まりすれば、個人消費の重しになりやすい。トレーダーはエネルギー株ETF(特定セクターの株価をまとめた上場投資信託)のオプションを使い、さらなる上昇への備え(ヘッジ:損失を抑える対策)や、需要減速の兆しが出た場合の反落を狙うことができる。
雇用市場と企業投資、とくにAI関連の強さは、株式投資家にとって見通しが割れやすい材料だ。テクノロジーなど成長株が相対的に強い一方、金利に敏感な公益事業や不動産は出遅れやすい可能性がある。指数オプションでこの差を狙う例として、ナスダック100(米ハイテク株中心の株価指数)のコール(上昇を見込む権利)を買い、ラッセル2000(米小型株指数)のプット(下落を見込む権利)を買うといった組み合わせが考えられる。
過去を振り返ると、2023年のインフレ高騰から物価を下げる過程では難しい局面があった。2025年時点の経験として、インフレが収束したように見えても再び粘着的(下がりにくい状態)になる「誤算」が複数回あった。FRBが政策の転換(方針を緩和方向に変えること)を示唆しないのは、同じ失敗を繰り返すことへの強い警戒感を映している。